「総合型選抜(AO入試)を受けようと思っているけれど、何から手をつければいいのか分からない」
8月のこの時期、そう思っている高校3年生と保護者の方は少なくないはずです。
総合型選抜は、大学が出願を受け付けられるのが9月1日以降と決められています。つまり、多くの大学で9月に入るとすぐ出願が始まります。いま8月中旬なら、残りは2週間から1ヶ月ほど。ここで何を先にやるかで、出せる書類の中身がまったく変わります。
⚠️ ただし、実際の出願期間は大学ごとに違います。9月上旬で締め切る大学もあれば、第2期・第3期を設けて10月・11月に受け付ける大学もあります。この記事の日付は「制度上の下限」として読み、自分の志望校の募集要項で必ず確認してください。
この記事では、公式に公表されている日程を確認したうえで、出願までにやることを順番に並べました。志望理由書の書き方、面接の準備、評定平均の扱い、そして「自分だけでやるか、人に見てもらうか」の判断まで、実際の作業の流れに沿ってまとめています。
まず日程を確認する(ここを間違えると全部ずれる)
準備の前に、日程を正確に押さえます。2027年度入試(=2026年秋から始まる入試)の日程は次のとおりです。
| 選抜の種類 | 出願 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 総合型選抜 | 2026年9月1日以降 | 2026年11月1日以降 |
| 学校推薦型選抜 | 2026年11月1日以降 | 2026年12月1日〜 |
| 大学入学共通テスト | 2027年1月16日(土)・17日(日)/追試験 1月23日・24日 | |
ここで大事なのは、総合型選抜と学校推薦型選抜は、受付が始まる時期が2ヶ月ずれているということです(いずれも「これより早くは受け付けない」という下限。実際の日程は大学ごとに異なります)。
「推薦で行きたい」と言うとき、この2つが混ざったまま話が進んでいることがよくあります。総合型選抜は9月出願、学校推薦型選抜は11月出願。準備を始める時期も、必要な書類も違います。
また、上の日付は「これより早くやってはいけない」という下限です。実際の締切は大学ごとに違い、9月上旬に締め切る大学もあれば、10月・11月に第2期・第3期を設ける大学もあります。志望校の募集要項に書いてある日付が、あなたにとっての本当の締切です。
いちばん先にやること:募集要項をダウンロードして、締切を紙に書く
今日できることが1つあるとすれば、これです。
- 志望校の入試情報ページから、募集要項(PDF)をダウンロードする
- 「出願期間」「必要書類」「選考方法」「試験日」「合格発表日」の5つに印をつける
- 出願期間の初日と最終日を、カレンダーか紙に書く
意外に思われるかもしれませんが、この5つを正確に言える受験生は多くありません。「たしか9月くらい」で動いていると、書類の郵送が間に合わない、という事故が起きます。特に郵送は「消印有効」か「必着」かで1日以上変わるので、ここは必ず確認してください。
残り1ヶ月の割り振り(週ごとにやることを決める)
「1ヶ月ある」と思うと、つい後回しになります。週で区切ると、やることがはっきりします。
1週目:材料を集める
- 募集要項を読み、必要書類を全部リストにする
- 調査書を先生に依頼する(これが最優先。学校の手続きに日数がかかります)
- これまでの活動を、思い出せるだけ書き出す(部活・委員会・資格・ボランティア・趣味・アルバイト・読んだ本)
- 大学の「アドミッション・ポリシー」(求める学生像)を読む
調査書は、自分では作れません。先生の作業が入るので、頼むのが遅れると、それだけで出願できなくなります。夏休み明けは依頼が集中するため、いちばん先に動くべきはここです。
2週目:志望理由書の骨組みを作る
いきなり文章を書き始めないでください。先に骨組みを作ります(詳しいやり方は次の章で説明します)。
3週目:書いて、人に読んでもらう
- 志望理由書を最後まで書く(下手でも最後まで書く)
- 先生・家族・塾など、自分以外の人に読んでもらう
- 指摘をもとに直す
4週目:面接の練習と、書類の最終確認
- 提出書類を声に出して読み、そこから来る質問を予想する
- 実際に人と向かい合って、模擬面接をする
- 誤字脱字・記入漏れ・押印・写真・封筒の宛名を確認する
- 郵送なら、締切の3日前には出す
志望理由書の作り方(ここがいちばん時間を食う)
総合型選抜でいちばん重く見られるのが、志望理由書です。そして、いちばん手が止まるところでもあります。
うまく書けない原因は、たいてい「文章力がないから」ではなく、材料が足りていないからです。順番を変えるだけで、書けるようになることが多いです。
手順1:過去を掘る(30分)
紙に、次の3つを思い出せるだけ書き出します。文にしなくて構いません。単語で十分です。
- 時間を忘れて夢中になったこと
- 「これは変だ」「なんとかしたい」と思ったこと
- 人に感謝された、褒められたこと
ここで出てくるものが、志望理由の芯になります。「立派な経験」でなくて構いません。むしろ、小さくて具体的なほど強いです。全国大会よりも、「祖母の買い物に付き添って、店の表示が読みにくいことに気づいた」の方が、あなたにしか書けません。
手順2:大学とつなぐ(60分)
次に、大学のアドミッション・ポリシーとカリキュラムを読みます。そして、手順1で出てきたものと重なる場所を探します。
- その学部に、自分の関心に近い研究をしている先生はいるか
- 受けたい授業・ゼミ・実習は具体的にどれか
- その大学ならではの制度(留学・地域連携・資格取得支援など)はあるか
「貴学の自由な校風に惹かれました」だけでは、どの大学にも当てはまってしまいます。授業名・先生の研究テーマ・制度の名前が1つ入るだけで、文章の重さが変わります。
手順3:型に流し込む(90分)
志望理由書は、次の流れで書くとまとまりやすくなります。
- きっかけ:何があって、この分野に関心を持ったか(具体的な場面を1つ)
- やってきたこと:その関心のもとで、実際に何をしたか
- 気づいた課題:やってみて、何が分からなかった/足りなかったか
- だからこの大学:その課題を解くために、なぜこの学部・この授業なのか
- 入学後の計画:4年間で何をどう学ぶか
- その先:卒業後にどうつなげたいか
③の「気づいた課題」を書ける人は、あまり多くありません。ここが書けると、「大学で学ぶ必要がある理由」が自然に出てきます。うまくいった話より、うまくいかなかった話の方が、志望理由としては強く働きます。
手順4:削る(30分)
書き上げたら、次の言葉を探して消します。
- 「さまざまな」「いろいろな」「多くの」→ 具体的な数や名前に置き換える
- 「〜だと思います」が多い → 事実と考えを分ける
- 「頑張りたい」「精一杯」→ 何をどうするのかに書き換える
字数が足りないときは、足すより先に、一つのエピソードを深く書く方がうまくいきます。3つの話を浅く書くより、1つの話を最後まで書く方が読み手には残ります。
活動報告書は「実績」ではなく「継続と役割」を書く
志望理由書と並んで提出を求められることが多いのが、活動報告書(活動実績報告書)です。ここでよくある誤解が、「大会の成績や資格がないと書けない」というものです。
実際には、書くべきは実績そのものより、次の3つです。
- どのくらいの期間、続けたか(3年間・週◯回、のように数で書く)
- その中で、どんな役割を担ったか(部長でなくても、「新入生の指導係」「記録係」でも構いません)
- 何か問題が起きたとき、どう動いたか
③が入ると、活動報告書は一気に「その人らしい」ものになります。たとえば「大会で優勝」よりも、「人数が減って廃部の危機になり、体験会を企画して2人入部してもらった」の方が、読み手には残ります。成果の大きさではなく、動いた事実が評価されると考えてください。
書き出すときのコツ:時系列で埋める
いきなり清書せず、まず表を作ります。
| 時期 | やったこと | そのとき考えたこと |
|---|---|---|
| 1年◯月 | 入部・◯◯係 | — |
| 2年◯月 | ◯◯の企画 | 人が集まらず困った |
| 3年◯月 | ◯◯を引き継いだ | — |
この表が埋まると、活動報告書だけでなく志望理由書の材料も、面接の答えも同時に手に入ります。3つの書類を別々に作るより、この表を1枚作る方が結果的に早いです。
提出書類チェックリスト(出す前に必ず)
郵送・Web出願のどちらでも、次を1つずつ確認してください。
- ☐ 志望理由書:大学名・学部名が正しいか(他大学の名前が残っていないか)
- ☐ 氏名・受験番号・生年月日の記入漏れ
- ☐ 写真:サイズ・期限(◯ヶ月以内撮影)・裏面の氏名
- ☐ 調査書:開封していないか(開封すると無効になることがあります)
- ☐ 検定の合格証明書:コピーか原本か
- ☐ 封筒:宛名の「行」を「御中」に直したか/必要な速達・簡易書留の指定
- ☐ 締切:消印有効か、必着か
- ☐ Web出願の場合:入学検定料の支払い完了まで済んでいるか(支払いが済むまで出願は完了しない大学が多い)
特に「調査書の開封」は、うっかりやってしまうと取り返しがつきません。学校から受け取った封筒は、そのまま出すのが原則です。
学校推薦型選抜と、どう使い分けるか
「両方受けられるのか」という質問もよくあります。整理しておきます。
| 総合型選抜 | 学校推薦型選抜 | |
|---|---|---|
| 学校長の推薦 | 不要(自己推薦) | 必要 |
| 出願 | 9月1日以降 | 11月1日以降 |
| 合格発表 | 11月1日以降 | 12月1日以降 |
| 評定の条件 | 大学による | 設けられていることが多い |
| 主に見られるもの | 志望理由・活動・面接 | 学校での成績・推薦 |
日程が2ヶ月ずれているので、「9月に総合型を受け、だめなら11月に学校推薦型」という流れは、制度上は成り立ちます。ただし、学校推薦型は校内選考を通る必要があるため、学校の先生に早めに相談しておくことが前提です。
また、総合型選抜で専願(合格したら必ず入学)の条件が付いている場合、合格後に他を受けることはできません。ここは募集要項で必ず確認してください。
保護者の方ができること(と、しない方がいいこと)
この時期、保護者の方から「何を手伝えばいいか」と聞かれることがあります。
手伝えること
- 締切の管理(カレンダーに書いて共有する)
- 証明書類の取り寄せ、郵送の手配、検定料の支払い
- 志望理由書を読者として読む(「ここ、意味が分からない」と言うだけで十分な価値があります)
- 面接練習の相手
やめた方がいいこと
- 志望理由書を代わりに書く…面接で深掘りされた瞬間に分かります
- 「そんな理由では受からない」と否定する…材料が出てこなくなります
志望理由書は、面接で「なぜ?」を3回重ねられます。自分の言葉でないものは、そこで必ず止まります。
評定平均は、どこまで関係するのか
よくある質問です。ここは正確に理解しておく必要があります。
総合型選抜では、評定平均に出願条件を設けている大学と、設けていない大学があります。「総合型だから評定は関係ない」と思い込むのは危険です。募集要項の出願資格欄に「全体の学習成績の状況が◯.◯以上」と書かれていれば、それは満たさないと出願自体ができません。
一方で、条件を設けていない大学も多くあります。その場合、評定は「参考資料の1つ」という扱いになり、書類や面接の比重が高くなります。
いずれにせよ、いまから評定平均を大きく変えることはできません。ここで時間を使うより、変えられるもの(志望理由書・面接・提出書類の完成度)に時間を回すのが合理的です。
面接の準備は「想像」ではなく「書類」から始める
面接対策というと、「よくある質問集」を集めがちです。でも、総合型選抜の面接は、提出した書類をもとに聞かれるのが基本です。
だから、準備の順番はこうなります。
- 提出した志望理由書・活動報告書を声に出して読む
- 1文ごとに「なぜ?」「具体的には?」「他にはないの?」と自分に聞く
- 答えられなかった箇所をメモする(そこが必ず聞かれます)
- その部分について、事実を思い出して補強する
「書類に書いたことを、その場でもう一段深く話せるか」——面接で見られているのは、ほぼこれです。
そして、本番前に必ず一度は、人と向かい合って声に出す練習をしてください。頭の中では答えられるのに、口に出すと止まる、というのはよくあることです。相手は先生でも家族でも構いません。
答えにくい質問への向き合い方
- 「他の大学ではだめなのですか?」…その大学にしかない要素(授業名・研究・制度)を1つ挙げられれば十分です
- 「不合格だったらどうしますか?」…正直に答えて構いません。「その場合も一般選抜で受け直します」は、志望度の高さとして伝わります
- 「そこは分かりません」…知ったかぶりより、分からないと言える方が印象は悪くなりません。ただし「調べていない」と「まだ分からない」は違うので、調べれば分かることは調べてから行くのが前提です
小論文・プレゼンがある場合
選考に小論文やプレゼンテーションが含まれる大学もあります。ここも、やることは決まっています。
- 過去問を手に入れる(大学のサイト・請求・オープンキャンパスで配布されることがあります)
- 時間を計って、実際に書く/話す
- 書いたものを人に読んでもらう
小論文は、書き方の型(意見→理由→具体例→反論への配慮→結論)を1つ覚えておくと、白紙の時間が減ります。プレゼンは、スライドを作り込むより、時間内に収まるかを先に確認する方が大切です。
「一人でやるか、人に見てもらうか」の判断
ここまで読んで、「量が多い」と感じた方が多いと思います。実際、総合型選抜は短期間に、一人では完結しない種類の作業が集中します。
特に、次の2つは自分だけでは埋めにくい部分です。
- 志望理由書を、自分以外の目で読んでもらうこと(自分の文章の分かりにくさは、自分では見えません)
- 面接を、人と向かい合って練習すること(これは一人ではできません)
学校の先生に見てもらえるなら、それがいちばん近道です。ただし、この時期の先生は非常に忙しく、1人あたりに割ける時間には限りがあります。何度も書き直して見てもらう、という進め方が難しい場合もあります。
その場合の選択肢として、総合型選抜・推薦入試に特化した個別指導という形があります。
総合型選抜に特化した個別指導という選択肢
一般入試向けの塾と、総合型選抜向けの指導は、やることが違います。前者は学力を上げる場所ですが、後者で必要なのは「自分の経験を掘り起こして、言葉にして、話せるようにする」作業だからです。
そうした総合型選抜(AO)・推薦入試に特化した完全個別指導の予備校として、グン塾があります。
検討する場合、次の点を問い合わせの段階で確認しておくと、後で困りません。
- いまの時期(8月中旬)から始めて、9月出願に間に合うか
- 志望理由書の添削は何回までか
- 面接練習は実際に人と対面(またはオンラインで顔を合わせて)行うか
- 料金の総額(追加料金が発生する条件も含めて)
- 合格実績を示された場合、その母数(何人中何人か)
最後の項目は特に大切です。合格率や保証といった表示を見たときは、「何人中の何人か」「保証の条件は何か」を必ず自分で確認してください。この記事では、公表されている数字の裏づけを確認できていないため、実績値そのものは記載していません。無料相談や資料請求の段階で、遠慮なく聞いて問題ありません。
よくあるつまずき5つ
1. 調査書の依頼が遅れる
先ほども書きましたが、これが最多です。調査書は学校が作るもので、自分では前倒しできません。思い立った日に依頼してください。
2. 志望理由書を「いい話」にしようとする
立派に見せようとすると、どこかで読んだような文章になります。読み手は毎年何百通も読んでいるので、借り物の言葉はすぐ分かります。小さくても自分の話の方が残ります。
3. 併願の可否を確認していない
総合型選抜には専願(合格したら必ず入学する)を条件にしている大学があります。併願できるつもりで複数出願すると、規約違反になる場合があります。募集要項の「出願資格」を必ず確認してください。
4. 一般選抜の勉強を完全に止めてしまう
総合型選抜の合格発表は11月以降です。もし通らなかった場合、そこから共通テスト(1月16日・17日)まで2ヶ月しかありません。完全に止めるのではなく、最低限の学習は続けておくのが安全です。
5. 提出直前に見直さない
誤字脱字、氏名・受験番号の書き忘れ、写真の貼り忘れ、封筒の宛名の敬称(「行」を「御中」に直す)。提出前に、別の人にもう一度見てもらってください。
出願してから合格発表までにやること
書類を出したら終わり、ではありません。総合型選抜は出願から合格発表まで、1〜2ヶ月かかることがあります(出願9月・発表11月以降)。この期間の過ごし方で、結果が変わることがあります。
- 提出書類のコピーを手元に置く…面接はここから聞かれます。原本を出す前に必ず控えを取ってください
- 関連分野の本を1冊読む…面接で「最近読んだ本は」と聞かれることがあり、志望分野の本を挙げられると話が続きます
- ニュースを追う…志望分野に関わる出来事は聞かれる可能性があります
- 共通テストの勉強を止めない…これがいちばん大事です(理由は次に書きます)
なぜ勉強を止めてはいけないのか
総合型選抜の合格発表は11月1日以降。共通テストは翌年1月16日・17日です。もし不合格だった場合、そこから2ヶ月半しかありません。
しかも、9月から11月まで完全に勉強を止めていた場合、その2ヶ月半は「取り戻す時間」から始まることになります。総合型選抜は”受かったら早く終わる入試”であって、”他を捨てる入試”ではありません。
現実的な配分としては、書類作成が終わった9月中旬以降、1日1〜2時間は基礎の維持に充てておくと、結果がどちらでも動けます。
今日やることを1つだけ選ぶなら
ここまで長く書きましたが、今日やることを1つに絞るなら、これです。
志望校の募集要項をダウンロードして、出願の締切日を紙に書く。そして、調査書を先生に依頼する。
この2つは、いつやっても同じ作業量ですが、遅れるほど選択肢が減る種類の作業です。志望理由書は書き直せますが、締切と調査書は取り返せません。
総合型選抜は、学力試験だけでは測られない入試です。裏を返せば、準備した分だけ差がつく入試でもあります。残りの日数を、変えられるものに使ってください。
※この記事の日程は、公表されている2027年度入試のスケジュールにもとづいています。実際の出願期間・必要書類・選考方法は大学ごとに異なりますので、必ず志望校の募集要項でご確認ください。
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✍️ この記事を書いた人
チケットナビ編集部
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