「8月5日まで」と書いてあったら、8月5日は入っているのでしょうか、入っていないのでしょうか。
この記事は、それを間違えかけた側が書いています。私たちのサイトで、終了日が来たキャンペーンの案内を外す作業をしていたとき、当日の朝に消そうとしました。まだ半日、その情報を頼りに来る人がいるのに、です。
結論から書きます。「〇日まで」は、その日を含みます。その日の24時まで有効です。
ところが、ここから先が厄介です。「〇日まで」と「〇日から8日間」では、数え方がまったく違います。しかも「初日は数えない」が原則なのに、クーリング・オフだけは初日を数えます。逆なのです。
この記事では、期限の数え方を条文にあたって確かめた手順で書きます。法律の条文は、e-Gov法令検索(国が運営している公式サイト)で誰でも無料で読めます。私が実際に読んだ条文の番号も全部書くので、疑わしいところはご自分で確かめてください。
先に結論:迷う場面は、この5つに集まります
- 「〇日まで」は、その日の24時まで。当日は含む
- 「〇日から10日間」は、翌日が1日目(初日は数えない)
- クーリング・オフだけは、受け取った日が1日目(初日を数える)
- 末日が土日祝でも、自動では延びない。延びるのは役所・裁判など決まった場面だけ
- 「1か月後」は、応当する日の前日。応当する日がない月は、その月の末日
もちろん、これで全部ではありません。契約書に特別な決まりが書いてあれば、そちらが優先されます。ただ、この5つを知っているだけで、日常で困る場面のほとんどは自分で判断できるようになります。残りは「書いてあるものを読む」で片が付きます。
以下、ひとつずつ確かめていきます。
ステップ1:まず「まで」か「から〇日」かを見分ける
期限でつまずく人のほとんどが、この2つを混ぜています。まったく別の話です。
「〇日まで」=ゴールが直接書いてある
「8月5日まで」「8月5日23時59分まで」のように、終わりの日が名指しで書いてある場合です。
この場合、数える必要はありません。8月5日が終わるまで有効です。民法第141条にこうあります。
前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。
(民法 第141条)
「末日の終了をもって」です。末日が始まった時点ではなく、終わった時点。つまり8月5日の24時(=8月6日の0時)まで、その期限は生きています。
お店の閉店時間や、窓口の受付時間で切られる場合はもちろんそちらが優先されますが、法律上の期限としては、その日いっぱいです。
「〇日から10日間」=自分で数える必要がある
問題はこちらです。「契約日から10日以内」「受け取った日から2週間以内」のように、始まりの日だけ書いてあって、終わりを自分で計算する場合。
ここで、多くの人が知らない原則が効いてきます。
ステップ2:起算日を決める(原則は「初日を数えない」)
民法第140条です。
日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
(民法 第140条)
「初日は、算入しない」。つまり、始まった日は数に入れません。翌日が1日目です。
なぜこんな決まりがあるのか。理由は単純で、始まった日は、途中から始まるからです。8月1日の夕方5時に契約したのに、8月1日を丸1日と数えるのは、その人に不利になります。だから中途半端な初日は切り捨てて、まるまる1日ある翌日から数える。そういう考え方です。
だから、ただし書きが付いています。「午前零時から始まるときは、この限りでない」。0時ちょうどに始まるなら、その日はまるまる1日あるので、ちゃんと数えます。
具体例で確かめます
例:8月1日の午後に契約し、「契約日から10日以内」と言われた
- 初日(8月1日)は数えない
- 起算日は8月2日。ここが1日目
- 8月2日から10日目は、8月11日
- 期限は8月11日の24時まで
「8月1日から10日」と聞くと8月10日と思いがちですが、1日ずれます。この1日で間に合わなくなることが、実際にあります。
ステップ3:週・月・年のときは「応当する日の前日」
「1か月以内」「2年間」のように、日ではなく月や年で決まっている場合。ここが一番間違えやすいところです。
民法第143条です。
週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
(民法 第143条)
読みにくいので、やることだけ書きます。
- 初日を数えないので、翌日が起算日
- その起算日と同じ日付を、1か月後(1年後)に探す=これが「応当する日」
- その前日が期限
例:4月30日に手続きをして「1か月以内」
- 起算日は5月1日(初日は数えない)
- 1か月後で5月1日に応当する日=6月1日
- その前日=5月31日が期限
「応当する日がない」場合がある
ただし書きが効くのが、この場面です。
例:1月30日に手続きをして「1か月以内」
- 起算日は1月31日
- 1か月後で31日に応当する日を2月に探す→2月31日は存在しない
- だから2月の末日(28日、うるう年なら29日)が期限
1月末や3月末に手続きをした場合、翌月に同じ日付がないことがあります。このときは月末が期限です。「30日あるはずだから」と数えると、間に合いません。
ここが逆転する:クーリング・オフは「受け取った日が1日目」
ここまで「初日は数えない」と書いてきました。ところが、いちばん期限を間違えたら困る場面で、この原則がひっくり返ります。
クーリング・オフです。特定商取引法 第9条を実際に読むと、こう書いてあります。
ただし、申込者等が第五条第一項又は第二項の書面を受領した日(その日前に第四条第一項の書面を受領した場合にあつては、その書面を受領した日)から起算して八日を経過した場合(…)は、この限りでない。
(特定商取引に関する法律 第9条)
注目していただきたいのは「から起算して」という言い方です。民法140条の「初日は算入しない」に対して、こちらは「受け取った日から起算する」と書いてある。つまり受け取った日が1日目です。
なぜかというと、民法第138条にこうあるからです。
期間の計算方法は、法令若しくは裁判上の命令に特別の定めがある場合又は法律行為に別段の定めがある場合を除き、この章の規定に従う。
(民法 第138条)
「特別の定めがある場合を除き」。個別の法律が別のことを書いていたら、そちらが優先されます。特定商取引法は「から起算して」と書いているので、そちらが勝ちます。
具体例で確かめます
例:8月1日に契約書面を受け取った(訪問販売・8日間)
- 8月1日が1日目
- 8月2日が2日目……
- 8月8日が8日目
- 期限は8月8日の24時まで
もし民法の原則どおり「初日は数えない」と思い込んで計算すると、8月9日まであると勘違いします。1日はみ出して、権利を失います。
期間が20日になるものもあります。同じ法律の第40条を読むと、連鎖販売取引(いわゆるマルチ商法)については、こう書いてあります。
第三十七条第二項の書面を受領した日(…)から起算して二十日を経過したとき(…)
(特定商取引に関する法律 第40条)
こちらも「から起算して」です。受け取った日が1日目で、20日目までです。
なお、8日・20日という数字は取引の種類ごとに決まっています。ご自分のケースがどれに当たるかは、受け取った書面に書いてあるはずです。書面に期限の記載がない、あるいは嘘を書かれていた場合は、期間が過ぎていてもクーリング・オフできる仕組みになっています(同条の括弧書き)。「もう過ぎたから無理」と自分で決めないでください。
末日が土日・祝日だったら、延びるのか
ここも誤解が多いところです。「土日祝なら自動的に翌営業日になる」というのは、正確ではありません。
民法第142条を読んでみます。
期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。
(民法 第142条)
2つ、大事な点があります。
- 「土曜日」が書かれていません。日曜日と祝日、そして「その他の休日」だけです
- 「取引をしない慣習がある場合に限り」という条件が付いています
つまり民法の世界では、末日が休日でも、それだけでは延びません。その日に取引をしない慣習があってはじめて、翌日に延びます。
一方、はっきり延びる場面もある
役所への申請と、裁判の手続きは、別の法律ではっきり決まっています。
役所への申請——行政機関の休日に関する法律 第2条です。
国の行政庁に対する申請、届出その他の行為の期限で法律又は法律に基づく命令で規定する期間をもつて定めるものが行政機関の休日に当たるときは、行政機関の休日の翌日をもつてその期限とみなす。
(行政機関の休日に関する法律 第2条)
その「行政機関の休日」は同法第1条で、日曜日および土曜日/祝日/12月29日から1月3日までと決まっています。土曜日も年末年始も入っています。
裁判の手続き——民事訴訟法 第95条3項です。
期間の末日が日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日、一月二日、一月三日又は十二月二十九日から十二月三十一日までの日に当たるときは、期間は、その翌日に満了する。
(民事訴訟法 第95条3項)
こちらは土曜日が明記されていて、しかも「慣習」の条件が付いていません。無条件で翌日です。
まとめると、こうなります
- お店やサービスとの約束(民法)……末日が休日でも、自動では延びない。慣習しだい
- 役所への申請・届出……土日祝・年末年始なら、翌日が期限
- 裁判の手続き……土日祝・年末年始なら、無条件で翌日
ですから、民間の期限が土日に当たったときは「延びるはず」と考えないでください。相手に確認するか、前倒しで済ませるのが安全です。
特に振込は注意が必要です。金融機関の処理は営業日に行われるため、金曜の夜に手続きをしても、着金が翌営業日になることがあります。期日が土日に当たる支払いは、余裕をもって前倒ししてください。
「必着」と「消印有効」は、まったく違う
郵送で書類を出すとき、この2つを混ぜると間に合いません。
- 必着……その日までに相手に届いている必要がある。投函した日ではなく、到着した日で判断される
- 消印有効……その日までに郵便局の消印が押されていればよい。到着はあとでかまわない
「消印有効」の落とし穴は、ポストに入れた時刻です。ポストは決まった時間に回収されるので、最終回収を過ぎて投函すると、消印は翌日の日付になります。締切当日に出すなら、郵便局の窓口に持ち込んで、その日の消印を押してもらうのが確実です。
どちらとも書いていない場合は、必着だと思って動いてください。厳しいほうに合わせておけば、どちらでも間に合います。
実際にやってみた:私たちが間違えかけた話
冒頭に書いたとおり、この記事を書くきっかけは自分の失敗です。
私たちのサイトには、期間限定のキャンペーン案内が入った記事がいくつもあります。終了日が来たら、その案内を外さなければいけません。終わったものを載せ続けるのは、読んだ人に迷惑だからです。
7月の終わりに、その撤去作業をしました。そのとき、こう考えました。「終了日は今日だ。だから今日、外そう」。
手が止まったのは、自分で前に書いたメモを読み返したときでした。そこにはこう書いてありました。「〇日までのものを当日に消すと、まだ使える情報を取り上げることになる。外すのは翌日」。
自分で書いていたのに、忘れていました。
そして実際、その日の夕方にもその記事を見て申し込んだ人がいました。朝に消していたら、その人は申し込めませんでした。しかも私は、そのことに気づきもしなかったはずです。
怖いのは、そこでした。気づかない失敗は、失敗として数えられません。誰にも指摘されず、記録にも残らず、ただ静かに損をします。
そこで、仕組みで防ぐことにしました
気をつける、では同じことを繰り返します。だから、期限つきの作業には次の3つを決めました。
- 終了日の「翌日」に外すと最初から決める。当日に外さない
- 時刻まで指定があるものは、その時刻まで作業できないようにする。実際、8月5日18時に外す予定のものは、18時前に動かすと止まるようにしました。自分の判断を信用しないためです
- 外したあと、公開されているページを実際に開いて確かめる。「消したつもり」で終わらせない
3つめが特に大事でした。以前、消したつもりで見出しだけ消して、中身が残っていたことがあります。作業の成功表示は、結果を保証しません。
自分で確かめる手順
ここまでの内容を、実際に使う順番に並べます。期限で迷ったら、上から順に確かめてください。
1. 書いてあるものを、そのまま読む
「〇日まで」なのか「〇日から〇日間」なのか。まずそこだけ見ます。「まで」ならその日いっぱいで、計算は不要です。
2. 「から起算して」と書いてあるか探す
契約書や案内に「から起算して」とあれば、その日が1日目です。この一言があるかないかで、丸1日変わります。
3. カレンダーに印を付けて、指で数える
暗算しないでください。紙かスマホのカレンダーに、1日目、2日目と実際に印を付けます。特に月をまたぐとき、暗算はほぼ間違えます。
4. 末日が土日祝なら、相手に聞く
前述のとおり、民間の約束では自動的に延びません。「延びますか」と聞くのが一番早く、一番確実です。聞ける相手なら聞いてください。
5. 受け取った書面の日付を、写真に撮っておく
クーリング・オフでは「いつ書面を受け取ったか」が起算日そのものです。あとから争いになったときに、日付の証拠がないと不利になります。受け取ったその日に、書面と封筒を撮っておいてください。
6. 期限の前日に、もう一度見る
「覚えているから大丈夫」が一番危ないです。期限そのものではなく、前日に通知が来るように設定してください。当日に気づいても、必要な書類が手元になければ間に合いません。
期限を落として損をする例として分かりやすいのが、ふるさと納税のワンストップ特例の申請忘れです。仕組みとよくある落とし穴はふるさと納税、初心者がやりがちな失敗5つにまとめています。
よくある質問
Q. 「8月5日まで」は、5日の何時まで?
法律上は24時までです(民法141条)。ただし、窓口の受付時間や店の営業時間で切られる場合は、そちらが実際の締切になります。ネットの申込みなら「23時59分まで」と明記されていることが多いので、書いてあるとおりに従ってください。
Q. 「〇日以内」と「〇日まで」は同じ?
違うことがあります。「8月5日まで」はゴールが名指しされているので迷いません。「10日以内」は起算日から数える必要があり、初日を数えるかどうかで1日ずれます。「以内」と書いてあったら、必ず起算日を確かめてください。
Q. 契約書に「初日を含む」と書いてあったら?
その書き方が優先されます。民法138条が「法律行為に別段の定めがある場合を除き」としているためです。当事者どうしで決めた内容が、民法の原則より先に来ます。
Q. クーリング・オフの期限が過ぎてしまった
あきらめる前に、受け取った書面を確認してください。特定商取引法9条には、事業者が嘘を言ったり威迫したりして期間内に手続きできなかった場合の定めがあります。また、法律で必要とされる書面が渡されていない場合も同様です。判断に迷うときは、消費者ホットライン「188」(局番なし)に電話すると、お住まいの地域の相談窓口につながります。
Q. 期限が土曜日。月曜でも大丈夫?
相手によります。役所への申請なら翌開庁日が期限になります(行政機関の休日に関する法律2条)。民間との約束は自動では延びないので、金曜までに済ませるのが安全です。
Q. 条文を自分で読みたい
e-Gov法令検索(国が運営する公式サイト)で、すべて無料で読めます。この記事で引用した条文は、そこから取ったものです。法律名で検索すれば出てきますので、気になる箇所はご自分で確かめてください。この記事も、間違っている可能性はゼロではありません。
まとめ
期限の数え方は、覚えることが多いように見えて、迷う場面は決まっています。
- 「〇日まで」は、その日の24時まで。当日を含みます(民法141条)
- 「〇日から10日間」は、翌日が1日目。初日は数えません(民法140条)
- クーリング・オフは逆で、受け取った日が1日目。「から起算して」と書いてあります(特定商取引法9条)
- 月で数えるときは、応当する日の前日。その日がない月は、月末です(民法143条)
- 末日が土日祝でも、民間の約束では自動で延びません。役所と裁判は延びます
契約や手続きでつまずきやすい所は、ほかにもまとめています。あわせて「買って後悔」「やって失敗」を防ぐ完全まとめもご覧ください。
最後に、法律の話ではないことをひとつだけ。
私が当日に案内を外そうとしたのは、早く片付けたかったからでした。やることが1つ減るからです。急ぐこと自体は悪くありませんし、たいていは正しい。でもあのときは、急いだぶんがそのまま誰かの損になるところでした。
期限の日は、終わりの日ではありません。最後の1日まで、それは誰かの役に立っています。終わらせるのは、終わったあとで十分です。
※この記事は、条文にあたって確かめた内容をまとめたものです。個別の契約や事情によって結論が変わることがあります。実際に判断が必要な場面では、消費者ホットライン「188」や、お近くの専門家にご相談ください。
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✍️ この記事を書いた人
チケットナビ編集部
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