サイトを引っ越したあと、「転送(リダイレクト)を設定したから大丈夫」で終わっていませんか。
この記事は、その状態で2か月間、気づかなかった人間が書いています。正確には、私たちのサイトで実際に起きたことです。
結論から書きます。転送は、壊れていても何も知らせてくれません。
エラーメールも届きませんし、管理画面も赤くなりません。訪問した人は、行き止まりのページを見て、黙って帰るだけです。だから自分で見に行かないと、永久に気づけません。
この記事では、引っ越したあとに確かめる5つを、実際にやった手順で書きます。特別な道具は要りません。
先に結論:確かめる5つ
- 転送先が本当に開くかを見る(設定したかどうかではなく、開くかどうか)
- 1本ずつ全部確かめる(抜き取りでは見つからない)
- アクセス解析で「その先」を見る
- 転送の設定がどこにあるかを書き留めておく
- 日付を決めて、もう一度見る
なぜ、壊れていても気づけないのか
ここが、この話でいちばん大事なところです。
転送の設定を入れると、管理画面には「設定済み」と表示されます。テストで1本開いてみて、ちゃんと移動すれば、そこで安心します。私たちもそうでした。
ところが、転送は「移動させること」までしか保証していません。移動した先が生きているかどうかは、まったく別の話です。
たとえるなら、こうです。
看板は立てた。矢印も書いた。でも、その矢印の先に道が無かった。
看板(転送の設定)は正しく立っています。だから設定画面は「正常」と出ます。でも、その先が無ければ、来た人は行き止まりに着きます。
そして行き止まりに着いた人は、あなたに知らせてくれません。
私たちの場合、どうなっていたか
正直に数字を書きます。
- 移転したのは、記事19本
- 転送先に設定していたのは、移転作業中に使っていた仮のURL
- その仮のURLは、本番の公開後に消していた(=存在しない)
- 気づかなかった期間は約2か月
- その間、検索結果に1,563回表示され、177回クリックされていた
177回クリックした人は、全員が行き止まりに着きました。サイト全体のクリック数の半分以上が、そこで消えていたことになります。
気づいたきっかけは、道具でも通知でもありません。人から「あれ、別のところに飛ばされていますよ」と言われた、その一言でした。
1. 転送先が本当に開くか、見る
いちばん最初にやることは、設定を見返すことではありません。
設定は正しく入っています(だから気づけないのです)。見るべきなのは、転送した先が開くかどうかです。
やり方:ブラウザで開くだけ
難しいことは要りません。
- 引っ越し前のURLを、ブラウザのアドレス欄に入れる
- Enterを押す
- 移動した先のページが、ちゃんと表示されるかを目で見る
ここで「404 Not Found」「ページが見つかりません」と出たら、それが行き止まりです。
気をつけること:シークレットウィンドウで見る
普段使っているブラウザだと、前に見たときの記録(キャッシュ)が残っていて、実際とは違う表示になることがあります。
シークレットウィンドウ(プライベートウィンドウ)で開くと、まっさらな状態で見られます。ここを面倒がると、「自分では見えているのに、他の人には見えていない」という状態を見逃します。
スマホでも見る
パソコンとスマホで、転送の動きが変わることがあります。スマホ用に別の設定を入れている場合は特にそうです。
両方で開いてください。片方だけ見て「大丈夫」と決めないことです。
2. 1本ずつ、全部 確かめる
これが、私たちが失敗した理由そのものです。
移転したときは、たしかに動作を確認しました。ただし数本だけでした。「同じ設定で一括で入れたのだから、他も同じはず」と考えたからです。
実際には、その「はず」が違っていました。
なぜ抜き取りではだめなのか
転送の設定は、たいてい次のどちらかです。
- まとめて1つのルールで転送している(例:/old/ で始まるものは全部 /new/ へ)
- 1本ずつ個別に転送先を書いている
前者なら、たしかに1本見れば十分なこともあります。ただしそのルールの転送先が間違っていたら、全部まとめて間違います。1本見て「動いた」と思っても、その1本も実は間違った先へ行っているかもしれません。
後者なら、1本ずつ違うので、抜き取りでは当然 見つかりません。
どちらにしても、全部見るのがいちばん確実です。19本なら10分もかかりません。
数が多いときは、一覧にしてから
本数が多いときは、先に一覧を作ります。
- 引っ越し前のURLを、表計算ソフトに縦に並べる
- 1行ずつ開いて、開けたら「○」、行き止まりなら「×」を付ける
- ×だけを直す
地味ですが、これがいちばん確実です。そして「何本 確かめたか」ではなく「×が何本 残っているか」で判断してください。
3. アクセス解析で「その先」を見る
ここは、あとから気づける手がかりが残る場所です。
Google Search Console や、アクセス解析の道具を使っている場合、次の組み合わせを探してください。
クリックはされている。なのに、そのページの滞在時間が極端に短い
行き止まりに着いた人は、すぐ戻ります。だから数字にこう出ます。
- 検索結果には出ている(表示回数がある)
- クリックもされている
- でも、そのページの数字がそこで途切れている
私たちの場合、1,563回の表示と177回のクリックがありながら、その先の数字が何もありませんでした。見ていれば気づけた形です。
ただし、これだけを頼りにしない
アクセス解析は、数字が集まるまでに時間がかかります。引っ越した直後は、まだ数字が少なくて分かりません。
1番(自分で開いて見る)が先で、これは補助と考えてください。
4. 転送の設定が「どこにあるか」を書き留めておく
これは、直すときに効きます。
転送の設定は、いくつもの場所に入れられます。
- サーバーの設定ファイル
- WordPressのプラグイン
- WordPressにコードを追加する仕組み
- DNS(ドメインの設定)
- 前に使っていたサービスの管理画面
問題は、時間が経つと、どこに入れたか分からなくなることです。
私たちが直したときも、まず「この転送は、どこで設定されているんだろう」を探すところから始まりました。結局、WordPressにコードを追加する仕組みの中にありました。
紙1枚でいいので、残しておく
引っ越したその日に、これだけ書いておいてください。
- 転送を設定した場所(サービス名・画面の名前)
- 設定の名前やID(後で探せるもの)
- いつ設定したか
- 転送元と転送先
これがあるだけで、直すときの時間がまったく変わります。
5. 日付を決めて、もう一度 見る
最後は、いちばん大事かもしれません。
引っ越した直後は、みんな慎重に確かめます。問題はそのあとです。
転送先のサービスを解約した。テスト用のURLを消した。ドメインの設定を変えた。——こうした「あとからの変更」で、転送は静かに壊れます。
そして最初に書いたとおり、壊れても誰も教えてくれません。
カレンダーに入れておく
引っ越した日に、その場で予定を入れてください。
- 1週間後……もう一度、全部 開いて確かめる
- 1か月後……もう一度
- 3か月後……もう一度
「覚えておく」ではなく「予定に入れる」ことが大事です。人は覚えていられません。私たちは覚えていられませんでした。
解約するときは、その前に確かめる
とくに危ないのが、古いサーバーやサービスを解約するときです。
解約の前に、必ず「この解約で、転送に影響が出ないか」を考えてください。転送を古い側に置いていた場合、解約した瞬間に全部が止まります。
よくある勘違いを3つ
勘違い1「設定画面に『正常』と出ているから大丈夫」
ちがいます。設定画面が見ているのは設定の書式が正しいかまでです。転送先が生きているかは見ていません。
勘違い2「エラーが出ていないから大丈夫」
行き止まりは、あなたの画面ではエラーになりません。訪問した人の画面でだけ起きます。だから、あなたのところには何も届きません。
勘違い3「1本 確かめたから、他も大丈夫」
これが私たちの失敗です。19本のうち何本かを見て「動いている」と判断しました。実際には、全部が同じ行き止まりへ向かっていました。
実際に直したときの手順
参考までに、私たちが直したときの流れを書いておきます。
- 指摘を受ける(「別のところに飛ばされていますよ」)
- 引っ越し前のURLを1本開いて、行き止まりを自分の目で確認
- 転送の設定がどこにあるかを探す(ここに時間がかかりました)
- 転送先を、いま生きているURLに書き換える
- 19本すべてを1本ずつ開いて、ちゃんと表示されることを確認
- 数日後に、もう一度 確認
5番を「数本だけ」で済ませていたら、同じことをくり返していたはずです。直したあとこそ、全部 見るのが大事です。
ついでに知っておくと、もっと安全になること
ここからは、転送そのものの話です。知らなくても直せますが、知っていると壊れにくくなります。
転送には2種類ある(301と302)
転送の設定をするとき、番号を選ぶ画面が出ることがあります。
- 301……「引っ越しました。もう戻りません」という意味
- 302……「いまだけ、こちらを見てください」という意味(一時的)
サイトを本当に引っ越したのなら、301です。
302のままにしていると、検索エンジンは「元の場所がまた使われるかもしれない」と考えます。その結果、新しいページの評価が上がりにくくなります。
迷ったら、こう考えてください。「元のURLを、もう二度と使わないか」。使わないなら301です。
本文だけでなく、画像やファイルも見る
見落としやすいのが、ページ以外です。
- 記事の中に貼っている画像
- ダウンロードしてもらうPDF
- デザインのためのファイル
ページ本体は転送できていても、その中の画像が古い場所を指したままだと、画像だけが表示されません。
確かめ方は簡単です。移動した先のページを開いて、画像がちゃんと出ているか目で見る。それだけです。
自分のサイトの中のリンクも書き換える
転送があれば、古いURLのままでも一応たどり着けます。ただし、毎回まわり道をすることになります。
まわり道が増えると、次のことが起きます。
- ページが表示されるまで、わずかに遅くなる
- 転送が壊れた瞬間に、サイト内のリンクまで全部 死ぬ
とくに2番目が問題です。転送に頼り続けていると、転送が壊れたときの被害が大きくなります。
時間があるときに、自分のサイトの中のリンクは、新しいURLに書き換えておいてください。
Search Console に「引っ越しました」と伝える
ドメインごと変えた場合(例:old.com → new.com)は、Google Search Console にアドレス変更を伝える機能があります。
これを使うと、引っ越しがGoogleに伝わりやすくなります。ただし条件があります。
- 新旧両方のサイトが、Search Console に登録されていること
- 転送が正しく動いていること
つまり、この記事の1〜5をやってからでないと使えません。順番を間違えないでください。
引っ越す「前」にやっておくこと
ここまでは引っ越したあとの話でした。これからの方は、前にやっておくと楽になります。
いまのURLを、全部 書き出しておく
引っ越してからだと、古いサイトが消えていて一覧が作れないことがあります。
引っ越す前に、いまのサイトのURLを全部、表計算ソフトに書き出しておいてください。サイトマップ(sitemap.xml)を開けば、たいてい一覧になっています。
この一覧が、あとで「1本ずつ確かめる」ときにそのまま使えます。
いまの数字を控えておく
引っ越し前の「1か月の表示回数」「クリック数」を、メモに残しておいてください。
引っ越したあと、数字が下がったときに「どのくらい下がったか」が分かります。控えていないと、下がったことにすら気づけません。
私たちが2か月気づかなかったのも、ここを見ていなかったからです。
古いサービスは、すぐに解約しない
引っ越したその日に古いサーバーを解約すると、後戻りできません。
最低でも1か月は、古い側を残しておくことをおすすめします。転送が壊れたときに、戻して確かめられるからです。
料金は1か月ぶん余計にかかりますが、行き止まりを2か月放置する損失と比べれば安いものです。
もし、すでに壊れていたら
この記事を読んで確かめたら壊れていた、という方へ。
まず、落ち着いて数える
いきなり直しはじめないでください。何本 壊れているのかを先に数えます。
数えないまま直すと、「直したつもり」で終わります。私たちは、直したあとに19本すべてを開き直して、ようやく安心できました。
直る速さは、思っているより速い
転送を直せば、その瞬間から訪問した人はちゃんと着きます。今日から効きます。
検索結果での評価が戻るには時間がかかりますが、少なくとも「来てくれた人を取りこぼす」のは、今日で止まります。
気づけたことは、悪いことではない
2か月気づかなかったのは、たしかに失敗でした。ただ、気づかないまま1年経つよりはずっといいです。
そして、一度この失敗をすると、次からは必ず確かめるようになります。私たちがそうです。
引っ越しのあとのチェックリスト
そのまま上から確かめられるように並べます。
- 引っ越し前のURLを、シークレットウィンドウで開いたか
- 移動した先が、ちゃんと表示されたか(404ではないか)
- スマホでも開いたか
- 全部のURLを1本ずつ確かめたか(抜き取りで済ませていないか)
- 転送の設定をどこに入れたか、書き留めたか
- 1週間後・1か月後・3か月後の予定を入れたか
- 古いサービスを解約する前に、転送への影響を考えたか
- アクセス解析で、クリックの「その先」を見たか
よく聞かれること
Q. 転送は、いつまで残しておけばいいですか
できるだけずっとです。少なくとも1年は残してください。
古いURLは、他の人のサイトやSNSに貼られたまま残っていることがあります。転送を消すと、そこから来た人が全員 行き止まりになります。
Q. 一度に何本まで転送していいですか
本数の決まりはありません。ただし本数が多いほど、確かめる手間も増えます。
100本を超えるなら、一覧を作って1本ずつ「○×」を付ける方法をおすすめします。目で追うだけでは、見落としが起きやすくなります。
Q. 転送すると、検索の順位は下がりますか
正しく301で転送していれば、大きくは下がらないとされています。ただし一時的に揺れることはあります。
問題は、転送そのものではなく転送が壊れていることです。壊れていれば、順位は確実に落ちます。私たちがそうでした。
Q. 無料のサービスから引っ越すときの注意は
無料のサービスは、転送の設定ができないことがあります。その場合、古いページに「移転しました」と書いたお知らせを置くしかありません。
引っ越す前に、「転送の設定ができるか」を先に調べておいてください。できないなら、引っ越しの計画そのものが変わります。
Q. 自分では確かめられないのですが
ブラウザで開くだけなら、特別な知識は要りません。古いURLを入れて、開いたページを見る。それだけです。
もし古いURLが分からない場合は、Google で「site:古いドメイン」と検索すると、登録されているページの一覧が出ます。
この記事を書いた理由
最後に、正直に書いておきます。
この記事は、うまくやっている人が書いたものではありません。2か月間、177回のクリックを行き止まりに送り続けた側が書いています。
設定はしていました。確認もしました(数本だけ)。管理画面も正常でした。それでも壊れていました。
だからこそ、書ける手順があります。「設定したか」ではなく「開くか」を見る。 ここだけは、譲れないところです。
同じことで時間を失う人が1人でも減れば、この失敗にも意味があったと思えます。
まとめ
転送は、壊れても何も言いません。それが、この話のすべてです。
私たちは2か月間、177回のクリックを行き止まりに送り続けていました。設定は正しく入っていましたし、管理画面も正常でした。それでも壊れていました。
だから、確かめ方は1つだけです。自分で開いて、目で見る。
1本ずつ、全部。面倒に見えますが、19本で10分でした。2か月ぶんの損失と比べれば、短い時間です。
引っ越しをした方、これからする方は、今日この場で1本 開いてみてください。それだけで分かります。
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✍️ この記事を書いた人
チケットナビ編集部
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