八月に年賀状の話をすると、たいてい「気が早い」と言われます。でも実際に慌てるのは十二月です。そして慌てる原因は、たいていひとつに絞れます。住所録が手元にないことです。
この記事は、年賀状を「出す人」と「やめる人」の両方に向けて、何を、いつまでに、どうやるかだけを順番に書いたものです。どのサービスが一番おすすめか、という話はしません。手順と締切だけを置いておきます。
日付や料金は、日本郵便が公表している資料をそのまま確認して書いています。
年の数え方だけ、先に整理させてください。いま買うことになるのは、2027年(令和9年・未年)のお正月に届く年賀はがきです。お店に並ぶ商品も「2027年用」と書かれています。
ただし、その2027年用の発売日・発行枚数・種類は、この記事を書いている時点ではまだ発表されていません(例年、十月末に日本郵便から発表されます)。ですので、日付の目安は、直近で確定している「2026年用」の実績を使って逆算します。発表され次第、この記事の日付も更新します。
つまり——買うのは2027年用、日程の目安は2026年用の実績。ここだけ頭に入れて読んでいただければ大丈夫です。
まず、八月にやることはひとつだけです
住所録を開いて、去年出した人の一覧を見る。これだけです。三十分もかかりません。
なぜこれが先かというと、十二月に一番時間を食うのが宛名の準備だからです。デザインを選ぶのは一日でできます。印刷も、注文してしまえば数日で届きます。けれど「誰に出すか」を決めて、住所を集めて、間違いを直す作業だけは、短くできません。相手に確認が必要なこともあります。
そして、この作業は八月にやっても十二月にやっても、かかる時間は同じです。違うのは、慌てているかどうかだけです。
逆算のカレンダー(2026年用の実績をもとに)
日本郵便の発表によると、2026年用の年賀はがきは次の日程でした。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 9月1日 | 郵便局の年賀状印刷カタログ、申し込み受付が始まる |
| 10月30日 9:00 | 年賀はがきの販売開始(翌年1月9日まで) |
| 12月15日 | 年賀状の引受開始 |
| 12月23日 | 郵便局の年賀状印刷カタログ、申し込み締切 |
| 12月25日 | 元日に届けるための差出締切 |
| 1月1日 | 配達 |
| 11月4日〜1月16日 | 寒中見舞いはがきの印刷受付 |
この表のうち、投函について覚えておく日付は二つです。ほかの日付(発売開始や印刷の申し込み締切)は、その都度カレンダーを見れば足ります。
- 12月15日より前に出しても、年賀扱いになりません
- 12月25日を過ぎると、元日に届く保証がなくなります
つまり、投函してよいのは十二月十五日から二十五日までの十一日間です。ここだけ押さえておけば、あとは前倒しでいくらでも準備できます。
「早く出しすぎる」という失敗があります
意外に知られていませんが、12月14日以前に投函した年賀状は、年賀特別郵便として扱われません。日本郵便の案内にはこう書かれています。引受開始前に差し出された年賀状は、通常の郵便として年内に届く、と。
つまり、十二月十日に「早めに出しておこう」と投函すると、相手には十二月十二日ごろに届いてしまいます。元日に届きません。
逆に、これを利用する手もあります。年賀はがきを懸賞の応募などに使いたいとき、料額印面の下にある「年賀」の文字を二重線などで消して差し出せば、年賀扱いをやめて通常配達にできます。これも日本郵便が案内している方法です。余った年賀はがきの使い道として覚えておくと便利です。
料金は、2024年10月に上がっています
郵便料金は2024年10月1日に改定されました。日本郵便の料金表では、現在このようになっています。
- 通常はがき … 85円
- 往復はがき … 170円
年賀はがきについては、種類によって上乗せがあります。日本郵便の発表で確認できているのは、寄付金付の年賀はがきが1枚につき5円の寄付金を含むということです。社会福祉や地球環境の保全にあてられます。
また、あまり知られていませんが広告付年賀はがきというものがあり、こちらは企業の広告が入っているぶん1枚につき5円安くなっています。ただし一部の地域限定の販売です。近所の郵便局で扱っているかどうかは、店頭で聞いてみるのが早いです。
枚数が多い家庭ほど、この5円の差は効いてきます。百枚出すなら五百円です。
【出す】手順① 住所録をつくる
ここが本番です。順番はこうします。
- 去年もらった年賀状を、束ごと出してくる
- 一枚ずつ見て、名前・住所・郵便番号を書き写す(または入力する)
- 去年自分が出したのに、返事が来なかった人に印をつける
- 去年もらったのに、自分は出していなかった人にも印をつける
三番目と四番目が大事です。ここを見ないと、毎年おなじ行き違いが続きます。
入力先は、表計算ソフト(エクセルやGoogleスプレッドシート)が扱いやすいです。列は最低でも、郵便番号/住所1(都道府県〜番地)/住所2(建物名・部屋番号)/氏名/敬称の五つに分けておきます。住所をひとつの列にまとめてしまうと、あとで印刷するときに行が折り返して読みにくくなります。
建物名を別の列にするのは、実務的にかなり効きます。マンション名が長いと、一行に収まらずに文字が小さくなるからです。
【出す】手順② 誰に出すか決める
住所録ができたら、今年出す人に印をつけます。ここで必ず確認するのが喪中です。
喪中はがきは、例年十一月から十二月上旬に届きます。届いたらその場で住所録に印をつけてください。後でまとめて、にすると抜けやすくなります。
喪中の方に年賀状を出してしまった場合、取り返しはつきませんが、松の内(一般に1月7日ごろ)が明けてから寒中見舞いとしてお詫びとご挨拶を送るのが通例です。郵便局の寒中見舞いはがき印刷は、例年11月上旬から翌年1月中旬まで受け付けています。
もう一つ、決めておくとよいのが「今年から出さない人」です。これについては、後半の「年賀状じまい」で詳しく書きます。
【出す】手順③ どこで作るか(三通り)
作り方は大きく三つです。どれが良いかは、枚数と、家にプリンターがあるかで決まります。おすすめは書きません。それぞれの手順と、いつまでに動く必要があるかだけ書きます。
(1)自宅で印刷する
手順は、デザインを決める → 年賀はがきを買う → 表面(宛名)と裏面(デザイン)を印刷する、です。
- いつまでに:はがきの購入は10月末から可能。印刷は12月10日ごろから始めれば余裕があります
- 宛名印刷:年賀状ソフトを使うか、ワープロソフトの差し込み印刷機能を使います。エクセルの住所録をそのまま読み込めます
- つまずきやすい点:インクの残量です。百枚刷る途中で切れると、その日は終わります。刷り始める前に、インクの予備を買っておくのがいちばん確実です
もうひとつ、自宅印刷でよくあるのがインクのにじみです。年賀はがきには「インクジェット紙」という種類があり、家庭用プリンターで刷るならこちらを選びます。無地の普通紙タイプに写真を刷ると、にじみます。買うときに窓口で「インクジェット用で」と伝えれば確実です。
(2)ネットの印刷サービスに頼む
手順は、サイトでデザインを選ぶ → 枚数を決める → 宛名データを渡す(任意)→ 注文する、です。
- いつまでに:早いところは十月から受け付けています。早期割引がある店が多いので、11月中に注文すると早期割引が使えるサービスが多いです(割引の内容と締切は店によって違うので、注文前に確かめてください)
- 宛名印刷:多くのサービスで有料オプションとして用意されています。エクセルの住所録をアップロードする形が一般的です
- つまずきやすい点:注文から到着まで数日かかります。十二月二十日を過ぎてからの注文は、届いてから投函するまでが慌ただしくなります
枚数が少ない場合でも受けてくれるところがあります。たとえば楽天市場では、四枚から注文できるカラー印刷が出ています。「百枚単位でしか頼めない」と思い込んで自宅印刷を選ぶ必要はありません。
(3)コンビニで印刷する
手順は、スマホでデザインを作る → コンビニのコピー機で印刷する、です。年賀はがきはコンビニでも買えます。
- いつまでに:その場で刷れるので、直前でも間に合います。ただし十二月下旬のコピー機は混みます
- 宛名印刷:基本的に手書きになります。枚数が多いと現実的ではありません
- つまずきやすい点:印刷の色味が、画面で見たものと変わることがあります。一枚だけ試し刷りをして確かめてから、残りを刷ってください
【出す】手順④ 宛名でつまずかないために
宛名印刷でよくある失敗は、だいたい次の三つです。
- 郵便番号が枠からずれる … 印刷位置の設定がはがきの種類と合っていません。必ず一枚で試し刷りをしてから本番に入ります
- 建物名が切れる … 住所を一列にまとめているのが原因です。手順①で住所を二列に分けておくと起きません
- 敬称が「様」と「御中」で混ざる … 会社宛と個人宛が同じ住所録に入っているときに起きます。敬称を列として持っておけば防げます
そして、いちばん確実な確認方法があります。刷り上がった束を、住所録の順番どおりに並べて、一枚ずつ声に出して読むことです。目で追うだけだと、見慣れた名前は間違っていても通り過ぎます。
【出す】手順⑤ 出す
投函は12月15日から25日のあいだ。ポストに「年賀状専用」の投入口が用意されるので、そちらに入れます。専用口がない場合は通常の投入口で構いませんが、年賀はがき以外の郵便物と一緒に束ねないでください。
日本郵便は、郵便番号・住所・氏名を正確に、はっきり書くことを案内しています。手書きの場合、崩した字は機械が読めず、人の手に回って遅れる原因になります。
【出す】自分が喪中のときは、どうするか
受け取る側の話は書きましたが、自分の側に不幸があった年の手順も書いておきます。ここは毎年やることではないので、いざというときに調べ直す人が多いところです。
やることは二つです。
- 喪中はがき(年賀欠礼状)を、十一月中に出す
- 年賀状は出さない。届いたら、松の内明けに寒中見舞いで返す
時期が大事です。相手が年賀状の準備を始める前に届ける必要があります。十二月に入ってから出すと、相手はもう印刷を終えているかもしれません。目安は十一月中旬から十二月上旬まで。十二月十五日を過ぎると、相手はすでに投函している可能性が高くなります。
誰に出すかは、例年 年賀状をやりとりしている人すべてが基本です。故人と面識のない相手にも出して構いません。「今年は年賀のご挨拶を控えます」と伝えるための挨拶状だからです。
間に合わなかった場合は、無理に喪中はがきを出さず、松の内が明けてから寒中見舞いとして「服喪中のため年始のご挨拶を控えました」と伝えます。こちらのほうが自然です。
【出す】仕事関係の宛名で、迷いやすいところ
個人宛と会社宛が同じ住所録に入っていると、敬称の付け方でつまずきます。整理すると、こうなります。
| 宛先 | 書き方 |
|---|---|
| 会社そのもの | 株式会社◯◯ 御中 |
| 部署あて | 株式会社◯◯ 営業部 御中 |
| 部署の中の個人 | 株式会社◯◯ 営業部 山田太郎 様(御中は付けない) |
| 役職つきの個人 | 株式会社◯◯ 営業部長 山田太郎 様(「部長様」は重複) |
よくある間違いが、「御中」と「様」を両方つけてしまうことです。個人名まで書いたら「御中」は要りません。
もうひとつ、役職を名前の前に置くのが基本です。「山田太郎 部長様」ではなく「営業部長 山田太郎様」です。住所録に「役職」の列を作っておくと、差し込み印刷のときに自動で正しい順に並びます。
【出す】差し込み印刷の、実際の手順
「エクセルの住所録から宛名を印刷する」と言われても、初めてだと手が止まります。ワープロソフトを使う場合の流れを書いておきます。年賀状ソフトを使う場合も、考え方は同じです。
- 住所録を保存する(xlsx でもCSVでも構いません。一行目を見出しの行にします)
- ワープロソフトではがきの宛名面のひな形を開く(多くのソフトに用意されています)
- 差し込み印刷の機能で、さきほどの住所録ファイルを指定する
- ひな形の各枠に、住所録のどの列を入れるかを割り当てる
- プレビューで一人目から順に送って、崩れがないか見る
- 一枚だけ印刷して、位置を確かめる
- 問題なければ全件を印刷する
五番目を飛ばさないでください。プレビューを最後まで送ると、住所が長い人のところだけ枠から出ているのが見つかります。これは一枚目の試し刷りでは分かりません。試し刷りは「位置」の確認、プレビューは「はみ出し」の確認で、役割が違います。
もうひとつ。住所録に空欄があると、そこだけ不自然な空白が入って印刷されます。建物名が無い家は空欄になるので、印刷前に「建物名の列が空の人」を並べ替えて確認しておくと安全です。
【出す】写真入りにするときの注意
子どもや家族の写真を入れる年賀状は定番ですが、渡す相手によって分けたほうがよいという考え方もあります。
- 親戚・親しい友人 … 写真入りで問題ありません。むしろ喜ばれます
- 仕事関係 … 家族の写真は避けるのが無難です。会社の住所に届き、他の人の目に触れることがあります
- 不妊治療中の方・お子さんを亡くされた方 … 事情を知っている場合は、写真なしのものを別に用意します
デザインを二種類つくるのは手間に見えますが、ネット印刷なら同じ注文の中で二種類のデザインを頼めるところが多く、追加費用もそれほどかかりません。注文前に「複数デザイン可か」を確かめておくと、あとで作り直さずに済みます。
写真の画質にも一点だけ。スマホで撮った写真をそのまま送ると、印刷したときに粗くなることがあります。送る前に、画像の長辺が1500ピクセル以上あるか確かめてください。多くのネット印刷では、画質が足りないと注文画面で警告が出ます。出たら無視せず、別の写真に替えます。
【やめる】年賀状じまいの手順
ここからは、やめる側の話です。
まず、数字を見ておきます。日本郵便の発表によると、2026年用の年賀はがきの当初発行枚数は7.5億枚でした。前年(2025年用・約10.7億枚)の約69.9%です。一年で三割減っています。
この流れは、日本郵便自身も認識しています。2026年用の案内には「年賀状じまい」という言葉が広がるなかで、『年賀状、やめるんじゃなくて、つなげていこう』という新商品を印刷会社と共同で立ち上げた、と書かれています。出す側の郵便局が、やめる流れに向き合っているということです。
つまり、やめるのも続けるのも、もう珍しいことではありません。気に病む必要はありません。ただ、伝え方には手順があります。
手順① いつからやめるかを決める
選択肢は二つです。
- 今年を最後にする … 今年は出して、その中で「これで最後にします」と伝える
- 来年からやめる … 今年は普通に出し、来年の年賀状を出さない
おすすめできるのは前者です。黙ってやめると、相手は「何かあったのか」と心配します。一枚のなかで伝えてしまうほうが、お互いに気持ちが済みます。
手順② 誰に伝えるかを決める
全員に一律で出す必要はありません。実際には、こう分かれることが多いです。
- 年賀状だけのつきあいの人 … じまいの挨拶を出す
- ふだんも連絡を取る人 … 年賀状はやめるが、連絡は続く。じまいの挨拶は必須ではない
- 目上の方・恩のある方 … 丁寧に伝える。文面をいちばん気をつけるのはここ
手順③ 文面に、外せない要素は四つです
「今年で最後にします」だけでは足りません。それだけだと、突き放したように読めます。次の四つを入れると、角が立ちません。
- これまでのお礼 … 長年やりとりしてきたことへの感謝
- やめる理由 … 年齢のこと、生活の変化など。詳しく書く必要はありません
- 相手を否定していないと分かる一言 … 「皆さまへ同じようにお伝えしております」と書くと、自分だけ切られたのではないと伝わります
- これからの連絡手段 … 電話でも、メールでも、SNSでも。ここが一番大事です。関係を終えるのではなく、年賀状という形をやめるだけだと示せます
四番目が抜けると、「縁を切られた」と受け取られることがあります。逆にここさえ書いてあれば、たいていは伝わります。
文面を一から考えるのが難しい場合は、あらかじめ文例が印刷された年賀状じまい用のはがきも売られています。名入れ印刷に対応しているものなら、そのまま出せます。
手順④ やめたあと、相手から届いたらどうするか
じまいを伝えても、行き違いで届くことはあります。相手が先に投函していた場合などです。
このとき、返さないのは避けたほうが無難です。松の内(一般に1月7日ごろ、地域によっては15日)を過ぎてから、寒中見舞いとしてお礼を出します。「年賀状は今年で失礼しましたが、お気持ちありがとうございました」という趣旨で構いません。
寒中見舞いを出せる時期は、松の内明けから立春(2月4日ごろ)までです。郵便局の寒中見舞いはがき印刷も、例年1月中旬まで受け付けています。
よくあるつまずきと、その防ぎ方
| つまずき | 防ぎ方 |
|---|---|
| インクがにじむ | インクジェット用の年賀はがきを買う。窓口で用途を伝える |
| 郵便番号が枠からずれる | 本番前に一枚だけ試し刷りする |
| 喪中の人に出してしまった | 松の内明けに寒中見舞いでお詫びと挨拶 |
| 建物名が切れる | 住所録で住所を二列に分けておく |
| 元日に届かなかった | 12月25日までに投函する。12月14日以前も年賀扱いにならないので注意 |
| 年賀はがきが余った | 「年賀」の文字を二重線で消せば通常郵便として使える |
| 印刷が間に合わない | コンビニ印刷なら当日でも刷れる。ただし宛名は手書きになる |
もう一度、覚えるのは二つだけです
- 12月15日より前に出しても、年賀扱いになりません
- 12月25日までに出せば、元日に届きます
そして、八月のうちにやっておくことも、ひとつだけです。住所録を開くこと。
出すと決めた人は、そこから逆算すれば十二月に慌てません。やめると決めた人も、住所録を開かないと「誰に伝えるか」が決まりません。どちらの道を選ぶにしても、入口は同じです。
2027年(令和9年)用の年賀はがきの発売日や種類は、例年どおりであれば十月下旬に日本郵便から発表されます。発表されたら、この記事の日付も更新します。
この記事で使った出典
- 日本郵便「2026(令和8)年用年賀はがきなどの発行および販売」(2025年8月29日 報道発表)— 発売日・発行枚数・引受開始日・差出締切・寄付金・広告付はがき・印刷カタログの受付期間
- 日本郵便「国内の料金表(手紙・はがき)」— 通常はがき85円/往復はがき170円(2024年10月1日改定)
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✍️ この記事を書いた人
チケットナビ編集部
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