遺族年金は、世帯の主たる稼ぎ手が亡くなった時に、残された配偶者・子に支給される年金。「遺族基礎年金」(全国民)と「遺族厚生年金」(会社員・公務員)の2階建てで、遺族基礎年金は子が18歳になった年度末まで、遺族厚生年金は要件を満たすかぎり続きます(妻が65歳になっても終わりません)。ただし2028年4月からは、18歳年度末までの子がいない60歳未満の配偶者は原則5年間の有期給付に変わります。
世帯の主な稼ぎ手が亡くなった時、残された家族の生活を支えるのが 「遺族年金」。「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2階建てで構成され、配偶者・子・孫の生活を支える公的保障です。⚠️「一生もらえる」が全員の前提ではありません。子のいない60歳未満の配偶者は、2028年4月から原則5年の有期給付になります(この記事のいちばん下で詳しく)。
遺族年金とは|「世帯の収入保障」
遺族年金は、国民年金・厚生年金の被保険者または受給権者が 亡くなった時、その人によって生計を維持されていた遺族に支給される年金。「世帯主の死亡保険」 としての性格を持つ、社会保障の根幹です。
2階建ての構造
1階:遺族基礎年金(全国民共通)
- 国民年金加入者の死亡で支給
- 対象:子のある配偶者 または 子
- 「子」=18歳到達年度末まで、または障害等級1・2級の20歳未満
2階:遺族厚生年金(会社員・公務員)
- 厚生年金加入者の死亡で支給
- 対象:配偶者、子、父母、孫、祖父母(優先順位あり)
- 30歳未満で子のいない妻は5年間限定
- 🔴夫(男性)は「死亡当時55歳以上」が条件で、受け取り始められるのは60歳から(遺族基礎年金を受給中の場合に限り、60歳より前でも合わせて受け取れます)。=子がいるかどうかに関係なく、54歳以下の夫自身には遺族厚生年金の権利が発生しません
- 🔴40歳以上65歳未満で子のいない妻には「中高齢の寡婦加算」年635,500円が上乗せされます(令和8年度・65歳になるまで)。見落とすと年60万円以上を計算に入れ忘れます。⚠️亡くなった方が老齢年金の受給権者だった場合などは、厚生年金の加入が20年以上ないと加算されません。また2028年4月以降に死別した場合は、この加算の額が年々下がります(この記事の下で説明)
支給額の目安(2026年4月時点)
| 遺族構成 | 遺族基礎年金(令和8年度) | 遺族厚生年金 | 中高齢の寡婦加算 |
|---|---|---|---|
| 妻+子1人 | 年 1,091,100円 (847,300+243,800) |
亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4。 人によって額が違います(加入期間が300月未満なら300月として計算)。 |
いまは付きません (遺族基礎年金を受けている間は加算されない) 🔴子が18歳になった年度末を過ぎて遺族基礎年金が終わると、そこから加算が始まります(40歳に達した当時、子がいるため遺族基礎年金を受けていた妻に限る) |
| 妻+子2人 | 年 1,334,900円 (847,300+243,800×2) |
いまは付きません (子の分が終わると、上と同じ切り替わりが起きます) |
|
| 子1人のみ | 年 847,300円 | ― | |
| 妻のみ(子なし・40歳以上65歳未満) | 出ません (子がいないと遺族基礎年金は対象外) |
年 635,500円 (65歳になるまで) |
※2026年10月10日更新:日本年金機構「遺族年金ガイド 令和8年度版」で数字を1つずつ確かめ、表を作り直しました。遺族基礎年金 847,300円(昭和31年4月1日以前に生まれた方は 844,900円)、子の加算は1人目・2人目 各243,800円/3人目以降 各81,300円、中高齢の寡婦加算 635,500円(いずれも令和8年度)。
⚠️前の表は、遺族厚生年金をどの世帯も「年 約60万円」と並べていました。これは目安としても危ない書き方です。遺族厚生年金は亡くなった方の報酬比例部分の3/4なので、同じ家族構成でも亡くなった方の給与と加入期間で額が変わります。ご自身の見込み額は、年金事務所か「ねんきんネット」で自分のケースの数字を出してください。
💡65歳以上で自分の老齢厚生年金を受け取る権利がある方は、①報酬比例部分の3/4 と ②「①の2/3+自分の老齢厚生年金の1/2」を比べて高いほうが遺族厚生年金になります(日本年金機構「遺族年金ガイド 令和8年度版」の例=①60万円/②65万円なら②)。ただし自分の老齢厚生年金に相当する額は支給停止になります。
受給要件
- 被保険者が 保険料納付要件 を満たしていた=保険料を納めた期間と免除された期間を合わせて、加入期間の2/3以上(免除も数えます)。これを満たさない場合でも、死亡日の前々月までの直近1年間に未納がなければ受けられる特例があります(亡くなった方が65歳未満・令和18年3月末までの死亡が条件)
- 受給者が被保険者によって 生計を維持 されていた(年収850万円未満)
- 遺族基礎年金は 「子のある配偶者」または「子」
申請の流れ
- 年金事務所または街角の年金相談センターへ(遺族基礎年金だけを請求する場合は、市区町村の年金担当窓口でも手続きできます)
- 必要書類:戸籍謄本/世帯全員の住民票/亡くなった方の住民票の除票/収入が確認できる書類(所得証明書・課税証明書・源泉徴収票など。マイナンバーを書けば省略できます)/死亡診断書(または死亡届の記載事項証明書)/受取口座の通帳(日本年金機構「遺族厚生年金を受けられるとき」)
- 審査=年金証書が届くまで提出から1カ月程度(加入状況の確認が必要な場合は2カ月程度)
- 年金証書が届いてから約1〜2カ月後に振込開始。以降は偶数月の15日に2カ月分ずつ(15日が土日祝なら直前の平日/日本年金機構「年金はいつ支払われますか」)
- ⚠️請求してから初めて振り込まれるまで、合わせて約2〜4カ月かかります。その間の生活費は、別に用意しておいてください
正直な確認ポイント|遺族年金で間違えやすい点
公的情報からの整理です。(1) 遺族基礎年金は“子のある配偶者または子”が基本で、子の年齢要件(18歳年度末まで等)があります。(2) 遺族厚生年金は対象範囲が広めで、要件を満たせば配偶者などが受け取れます。(3) 亡くなった人の保険料納付要件を満たしている必要があり、受給後に再婚すると失権するなどのルールもあります。判断が難しいので、年金事務所で“自分のケースで何が出るか”を確認するのが確実です。
独自視点|「申請しないと貰えない」基本
遺族年金は 自動振込ではなく申請主義。亡くなった方が年金加入者だった事実があるだけでは支給されません。各月分の年金は、5年を過ぎた分は原則として受け取れません(時効)。ただし年金を受ける権利そのものは、やむを得ない事情を書面で申し立てれば、時効で消滅させない取扱いがあります。=「5年過ぎたからもう無理」と諦めないでください。まず年金事務所に相談を(日本年金機構「年金の時効」)。
こんな人におすすめ
- 配偶者が会社員・公務員で生命保険代わりに知っておきたい
- 家族が亡くなって今後の生活が不安
- 遺族年金を申請したいけれど手続きが分からない
🔴2028年4月から変わる|「一生もらえる」が全員の前提ではなくなる
2025年に成立した年金制度の改正で、遺族厚生年金の仕組みが2028年4月から変わります(施行予定)。
いまの制度を前提に生活設計をしていると、見通しが大きくずれる可能性があります。
- 18歳年度末までの子がいない60歳未満の配偶者は、原則5年間の有期給付になります。
60歳以上で死別した場合は、これまでどおり期間の区切りはありません。 - 有期給付には「有期給付加算」が上乗せされ、額はいまの遺族厚生年金の約1.3倍になります。
- 5年で終わったあとも、収入が十分でない方などは増額された遺族厚生年金を続けて受け取れます(継続給付)。
単身で就労収入が月額約10万円(年間122万円)以下であれば、継続給付は全額支給されます(厚生労働省の注記では、2025年度の税制改正を反映すると132万円になる見込み)。継続給付を受けられるのは最長65歳までです。 - 18歳年度末までの子がいる間は、現行制度と同じで影響はありません。
子が18歳年度末を過ぎたあと、さらに5年間は「増額された有期給付+継続給付」の対象になります。 - 遺族基礎年金の子の加算額も増額されます。厚生労働省の資料の表記は「年間 約23.5万円 → 28万円」ですが、この23.5万円は令和7年度の額で、令和8年度のいまは243,800円です(上の表と見比べてください)。
⚠️施行直後に対象になる人は、男女で違います。
男性は「18歳年度末までの子がいない60歳未満の方」が対象(厚生労働省の推計で年間 約1万6千人)。
女性は「18歳年度末までの子がいない、2028年度末時点で40歳未満の方」が対象(新たに対象となる30代の女性は推計で年間 約250人)。
すでに受け取っている方や、2028年度に40歳以上になる女性は影響を受けません。
🔴ただし「2028年度に40歳以上だから、自分はずっと関係ない」で終わらせないでください。女性については、厚生労働省の資料に「2028年4月から20年かけて段階的に実施」「子のない妻の有期給付の対象年齢を施行日から40歳に引き上げ、その後、相当期間をかけて段階的に対象年齢を引き上げる」と書かれています。=いま30代・40代の方も、何年か先に死別した時点では対象になっている可能性があります(厚生労働省「主な改正内容」/厚生労働省「指摘への考え方」)。
⚠️中高齢の寡婦加算(年635,500円)も、これから縮んでいきます。施行日以降に新しく発生する加算の額は、令和35年度まで25年かけて段階的に縮小されます(厚生労働省「指摘への考え方」)。いま受け取っている方の額が下がるという話ではありません。
出典=厚生労働省「遺族厚生年金の見直しについて」(2026年10月10日に確認)。
⚠️制度の中身は、施行時の政令・省令で最終的に決まります。実際に請求する時点で、厚生労働省と日本年金機構の最新の案内を見てください。
まとめ|「遺族の安心」を支える生涯保障
遺族年金は、残された配偶者・子の収入を支える公的な保障です。ただしいくら・いつまで受け取れるかは、亡くなった方の加入状況と、残された人の年齢・子の有無で大きく変わります。とくに①中高齢の寡婦加算(年635,500円)を計算に入れ忘れないこと(2028年4月以降に死別した場合は額が年々下がります) ②夫は55歳以上という年齢要件があること ③2028年4月から子のいない60歳未満の配偶者は原則5年の有期給付になることの3つは、見落とすと見通しが何十万円も変わります。自分の世帯でいくらになるかは、年金事務所で必ず確かめてください。
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✍️ この記事を書いた人
チケットナビ編集部
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