ファクタリング会社のサイトを開くと、いちばん大きな字で「手数料2%〜」と書いてあります。けれど実際に見積もりを取ると、その数字にならないことがあります。悪いことをされているわけではなく、「2%〜」は下限の表示だからです。
この記事では、法人専用のファクタリングサービス「FIKS(フィクス/株式会社FIKS)」を題材に、申し込む前に、自分の請求書でいくら手元に残るのかを計算する手順をまとめます。FIKSが公式サイトで公開している成功事例5件の金額を使って、実際の手数料率を1件ずつ検算しました。営業トークではなく、公開されている数字だけで確かめられる話です。
※本記事の情報は2026年9月7日に公式サイトで確認した内容です。条件は変わることがあるため、申し込み前に必ず最新の表示をご確認ください。
この記事でできるようになること
- 「手数料2%〜」の「〜」の部分が、実際にどのくらいの幅になるのかを見当づけられる
- 2社間と3社間のどちらを選ぶと手数料が変わるのかを、公開事例の実額で判断できる
- 売掛金からいくら引かれて、手元にいくら入るのかを自分で計算できる
- 「その手数料を払っても、この取引は黒字で終わるのか」を申し込む前に判断できる
- FIKSが自分の会社に合うかどうかを、申し込む前に切り分けられる
まず結論:公開事例5件の実際の手数料率は5.50%〜12.00%だった
FIKSの公式サイトには、成功事例が5件、債権売却額と手数料の実額つきで公開されています。金額が両方書いてあるので、手数料率は割り算するだけで出せます。実際に計算した結果が次の表です。
| 事例 | 業種 | 方式 | 債権売却額 | 手数料 | 手数料率 | 受取額 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 01 取引先の倒産 | 建設業 | 2社間 | 1,100万円 | 88万円 | 8.00% | 1,012万円 |
| 02 入金ズレ | 製造業 | 2社間 | 563万5,000円 | 42万2,000円 | 7.49% | 521万3,000円 |
| 03 他社から乗り換え | 運送業 | 2社間 | 200万円 | 24万円 | 12.00% | 176万円 |
| 04 設備投資 | 歯科クリニック | 3社間 | 560万円 | 30万8,000円 | 5.50% | 529万2,000円 |
| 05 新規取引 | 卸売業 | 3社間 | 480万円 | 28万8,000円 | 6.00% | 451万2,000円 |
ここから読み取れることは3つです。
- 実際の幅は5.50%〜12.00%だった。「2%〜」は下限であって、公開されている事例で2%台のものは1件もありません。
- 3社間のほうが安い。3社間の2件は5.50%と6.00%、2社間の3件は7.49%・8.00%・12.00%です。公開事例の範囲では、3社間と2社間の間にはっきりした差があります。
- 金額が小さいほど率が高い傾向がある。いちばん率が高かった事例03は売却額200万円で、5件のなかで最も小さい金額です。
これは「FIKSが高い」という話ではありません。どのファクタリング会社でも、下限の数字と実際の見積もりは違うのがふつうです。大事なのは、その差を申し込む前に自分で見込んでおくことです。
手順1:自分の請求書のどこを見るかを決める
ファクタリングは「入金待ちの請求書(売掛金)を、期日より前に買い取ってもらう」仕組みです。借入ではないので、まず用意するのは決算書ではなく請求書です。
手元の請求書を並べて、次の3つを書き出します。
- 売掛先(請求書を出した相手)は誰か — ファクタリングの審査は、申し込む自社ではなく売掛先の支払い能力を見ます。FIKSの無料診断でも「売掛先の会社規模」として、上場企業・大規模企業・中小企業・公共機関・個人事業・その他という選択肢が用意されています。
- 入金予定日はいつか — 期日までの残り日数が短いほど、買い取る側のリスクは小さくなります。
- 金額はいくらか — FIKSの無料診断は100万円〜1億円の範囲で選ぶ形式です(お問い合わせフォーム側は「〜49万円」から選べます)。
この3つが決まらないうちに問い合わせても、返ってくるのは概算にもなりません。逆に3つが揃っていれば、多くの会社で当日中に見積もりが出ます。
売掛先が「上場企業・公共機関」なら条件は良くなりやすい
審査で見られるのが売掛先である以上、売掛先の信用が高いほど条件は良くなりやすいという関係になります。公開事例04は歯科クリニックが「国保連への診療報酬債権」を売却した例で、3社間・手数料5.50%と5件のなかで最も低い率でした。支払う側が公的機関である債権は、買い取る側から見ると回収が読みやすい、ということです。
逆に、売掛先が設立まもない会社や個人事業だと、率は上がりやすくなります。同じ自社でも、どの請求書を出すかで条件が変わるので、複数の請求書があるなら「いちばん信用の高い売掛先の分」を出すのが基本です。
手順2:2社間か3社間かを決める
ここが手数料にいちばん効きます。FIKSのFAQには両方の説明が載っています。
| 2社間ファクタリング | 3社間ファクタリング | |
|---|---|---|
| 関わる人 | 自社とFIKSの2社 | 自社・FIKS・売掛先の3社 |
| 売掛先への通知 | しない | する(債権譲渡通知を送付) |
| 集金する人 | 自社が集金してFIKSに引き渡す | FIKSが売掛先から直接集金 |
| 公開事例の手数料率 | 7.49%・8.00%・12.00% | 5.50%・6.00% |
2社間は取引先に知られずに済むかわりに、買い取る側は「自社がちゃんと集金して渡してくれるか」というリスクも負います。そのぶん率が上がる、という構造です。3社間は売掛先に通知が行くので気を使いますが、率は下がります。
判断の目安はこうなります。
- 取引先との関係に影響を出したくない=2社間。公開事例では7.5〜12%を見込む。
- 売掛先が公的機関や大企業で、通知が行っても問題ない=3社間。公開事例では5.5〜6%を見込む。
公開事例のなかで3社間を選んでいるのは、売掛先が国保連(事例04)と、新規取引先の与信そのものをFIKSに引き受けてもらう狙いがあった卸売業(事例05)でした。「知られたくないかどうか」だけでなく、「通知しても差し支えない相手か」で決めているのが分かります。
手順3:手元に残る金額を実額で計算する
計算は単純です。
受取額 = 債権売却額 −(債権売却額 × 手数料率)
たとえば売掛金500万円を、2社間・手数料8%で売った場合はこうなります。
- 手数料:500万円 × 8% = 40万円
- 受取額:500万円 − 40万円 = 460万円
ここで確認しておきたいのが「その40万円は、諸経費込みか」です。会社によっては手数料とは別に、事務手数料・登記費用・出張費・振込手数料などがかかります。FIKSは公式サイトで「手数料は2%からと非常に低く、諸経費も全て含まれたリーズナブルな設定」と説明しています。見積もりを受け取ったら、この点を口頭でも確認しておくと安全です。
「粗利を超える手数料」を払っていないか確かめる
この確認をやっている人は多くありません。けれどFIKS自身がFAQで、はっきりこう書いています。
売上増加に伴う売上原価費の調達に利用するのが理想とされております。当然、売上総利益(粗利)を越える、ファクタリング手数料を支払ってしまうと、かえって経営を悪化させてしまう恐れもありますのでご注意ください。
FIKS公式サイト FAQ(2026年9月7日確認)
つまり、こういう計算をしておきます。
- その請求書の粗利を出す(請求額 − その仕事にかかった原価)
- 手数料の見積額と比べる
- 手数料が粗利を超えていたら、その取引は赤字で終わる
例で見ます。500万円の請求書で、原価が450万円(粗利50万円)だった場合。
- 手数料8%=40万円 → 粗利50万円のうち40万円が消える。残り10万円。成立はするが、ほとんど残らない
- 手数料12%=60万円 → 粗利50万円を超える。この取引は赤字
公開事例03(運送業)が12.00%だったことを思い出してください。率は本当に12%まで動きます。粗利の薄い業種ほど、この計算を先にやる意味があります。
融資の金利とは、そもそも別のものとして考える
ここで迷いやすいのが「銀行の金利より高いのでは」という比べ方です。ファクタリングの手数料は利息ではなく、売掛債権を売買したときの価格差です。借入ではないので、そもそも金利という物差しに乗りません。
比べるとしたら、率ではなく「この条件を手に入れるのに、いくら払うか」で見ます。ファクタリングには、融資には無い性質があります。
- 返済義務がない(売掛先が倒産しても、原則として買い取った側がリスクを負う)
- 信用情報に記録が残らない
- 担保・保証人が不要
- 審査が数日ではなく、最短即日で終わる
この「速さ」と「返済義務がないこと」に、その手数料を払う価値があるかどうか。そこが判断の分かれ目です。資金繰りが1か月ずれるだけで受注が飛ぶような場面なら合いますし、単に金利を下げたいだけなら融資のほうが向いています。
手順4:申し込む前に、対象かどうかを確かめる
ここは実際にサイトを読んでいて気づいた注意点です。FIKSの公式サイトには、書いてある場所によって条件の表現が違います。
| 書いてある場所 | 表現 |
|---|---|
| サービス説明の本文 | 「法人や個人事業主どちらでも利用可能」 |
| 無料診断の「事業形態」の選択肢 | 「法人」のみ |
| お問い合わせフォームの下の注記 | 「※当社のサービスは法人のお客様専用です。個人事業主の方のお申し込みは受け付けておりません」 |
実際に申し込みを受け付ける側の画面(診断フォームと問い合わせフォーム)がどちらも法人専用になっています。個人事業主の方は、FIKSは対象外と考えて別の会社を探すほうが早いです。ここを読み飛ばすと、書類を揃えてから断られることになります。
そのほか、申し込み前に見ておく項目です。
- 受付時間 — 公式サイト記載の電話受付は平日9:00〜18:00。「最短即日」を狙うなら、午前中に書類を揃えて連絡するのが現実的です。夕方の申し込みで即日入金は、どの会社でも厳しくなります。
- 買取金額の範囲 — 公式サイトは「買取金額の上限・下限も設けられていません」と説明しています。ただし無料診断の選択肢は100万円からです。少額の場合は、診断ではなく問い合わせフォーム(〜49万円から選択可)か電話で相談する形になります。
- オンラインで完結するか — 公式サイトは「オンラインで全て完結するため対面の必要がなく、全国どこからでも申し込みが可能」としています。地方の事業者でも出張費の心配をしなくて済む形です。
- 保証人 — FAQに「代表者個人保証にかかわらず、連帯保証人は一切必要ございません」と記載があります。
- 赤字決算・税金滞納 — FAQに「問題ございません。対象となるのは、お客様が保有する売掛債権の評価となります」と記載があります。銀行融資で断られた場合の選択肢になり得る、というのはこの点です。
手順5:必要な書類を先に揃える
「最短即日」と書いてあっても、実際に当日入金になるかどうかは書類が揃っているかで決まります。FIKSは公式サイトで「必要書類が揃い次第、審査を迅速に開始し、ご契約後すぐに入金対応いたします」と説明しています。裏を返せば、揃っていなければそこで止まります。
ファクタリングで一般的に求められる書類は次のようなものです。具体的に何が必要かは会社と案件によって変わるため、必ず問い合わせ時に確認してください。
- 買い取ってもらう請求書(売掛金の内容が分かるもの)
- 売掛先との取引が確認できる資料(契約書・発注書・納品書など)
- 入出金が確認できる通帳の写し(直近数か月分を求められることが多い)
- 決算書(直近期のもの)
- 商業登記簿謄本・印鑑証明書
- 代表者の本人確認書類
この6種類を先にPDFにしてフォルダにまとめておくと、問い合わせから見積もりまでが一気に短くなります。「即日」を実現しているのは会社のスピードだけではなく、申し込む側の準備でもあるということです。
FIKSの基本情報(2026年9月7日確認)
ファクタリングは金額が大きくなる取引なので、相手の実体を確認しておく意味があります。FIKSは公式サイトの下部に会社概要を掲載しています。
| 会社名 | 株式会社FIKS |
|---|---|
| 代表取締役 | 藤田 憲一 |
| 所在地 | 〒160-0023 東京都新宿区西新宿三丁目1番3号 MITSUWAビル5階 |
| 電話番号 | 03-6908-5020(平日9:00〜18:00) |
| 設立年月 | 令和4年8月23日 |
| 資本金 | 1,000万円 |
| 事業内容 | ファクタリング事業 |
| 顧問弁護士 | DK総合法律事務所 弁護士 宮﨑 大輔 |
設立は令和4年(2022年)8月で、記事執筆時点で4年ほどの会社です。所在地・電話番号・顧問弁護士名まで公開されている点は、確認材料として見ておいてよいところです。
ファクタリングは貸金業ではない
「貸金業の登録がないけれど大丈夫なのか」という疑問が出ることがあります。FIKSのFAQでは次のように説明されています。
ファクタリングは売掛債権等の売買になります。売買契約に基づき債権の譲渡を行います。ですので、貸金業法の適用はございませんので貸金業登録をする必要もありません。
FIKS公式サイト FAQ(2026年9月7日確認)
また同サイトでは、経済産業省が不動産担保に依存しない売掛債権の活用を推奨してきた経緯にも触れています。売掛債権の売買という仕組み自体は、事業者向けの資金調達手段として一般的に行われているものです。
FIKSが向いている場面・向いていない場面
ここまでの内容を、判断の形に落とします。
向いている
- 法人で、入金待ちの請求書がある
- 売掛先が上場企業・大企業・公共機関など、支払いが読める相手
- 取引先に知られたくない(2社間を選べる)
- 赤字決算や税金の滞納があり、銀行融資で止まっている
- 入金が1か月ずれるだけで、仕入れや外注費の支払いが回らない
- その手数料を払っても、その案件の粗利が残る
向いていない
- 個人事業主(申し込みフォームの注記で対象外と明記)
- 粗利が薄く、手数料を引くと赤字になる案件
- 急いでおらず、単に調達コストを下げたい(融資のほうが安い)
- 売掛金ではなく、これから受注する分の資金が必要(ファクタリングは既存の請求書が対象)
- 慢性的に資金が足りず、毎月ファクタリングを繰り返している状態
(公開事例03の運送業は、この状態から乗り換えで手数料を下げた例です。ただし乗り換えは根本的な解決ではなく、繰り返す前提なら事業側の見直しが先になります)
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申し込みから入金までの流れ
FIKSは「かんたん5ステップで最短即日振込」としています。一般的なオンライン完結型ファクタリングの流れは次のようになります。
- 無料診断・問い合わせ — 調達希望額、事業形態、売掛先の会社規模などを選んで送信。所要3分程度。
- 書類の提出 — 請求書と、取引が確認できる資料をオンラインで送付。ここが揃っているかで所要時間が決まります。
- 審査・見積もり — 売掛先の信用を中心に審査。FIKSは審査専門チームの常駐とAIによる事前審査を挙げています。
- 契約 — 条件に納得できたら契約。ここで手数料の実額と、諸経費が含まれているかを必ず確認します。
- 入金 — 契約後に振込。FIKSは複数の金融機関と連携していると説明しています。
ステップ4を飛ばさないでください。「率」ではなく「実額」で確認するのがコツです。「8%です」と言われたら「では手数料はいくらで、振り込まれるのはいくらですか」と数字で聞き直す。この一言で、後から増える費用があるかどうかが分かります。
よくある質問
手数料2%で使えることはあるのですか?
公式サイトの表示は「2%から」であり、下限として掲げられている数字です。公開されている成功事例5件の実額から計算すると5.50%〜12.00%でした。2%に近づく可能性があるとすれば、売掛先の信用が非常に高く(公的機関・上場企業など)、3社間で、金額が大きい案件だと考えられます。ただし個別の見積もりは審査次第なので、実際の率は診断を受けて確認してください。
取引先に知られませんか?
2社間ファクタリングを選べば、売掛先への債権譲渡通知は行われません。FIKSのFAQに「取引先に通知を出さずに、ファクタリングを利用することは可能です」と明記されています。ただし前述のとおり、2社間は3社間より手数料率が高くなる傾向があります(公開事例では2社間7.49〜12.00%、3社間5.50〜6.00%)。
赤字決算でも使えますか?
FIKSのFAQでは「問題ございません。対象となるのは、お客様が保有する売掛債権の評価となります」と回答されています。審査対象が自社ではなく売掛先である、というファクタリングの性質によるものです。
売掛先が支払わなかったら、自社が返すのですか?
FIKSのFAQでは「ファクタリングにおいて、倒産リスクはファクタリング業者側が負います。その他、売掛先からの不払い、遅延においても、業者側がリスクを負担します」と説明されています。これは融資との大きな違いです。契約書でこの点がどう書かれているかは、署名前に必ず自分の目で確認してください。
個人事業主でも使えますか?
サービス説明の本文には「法人や個人事業主どちらでも利用可能」とありますが、無料診断の事業形態は「法人」のみ、お問い合わせフォームには「当社のサービスは法人のお客様専用です。個人事業主の方のお申し込みは受け付けておりません」と注記されています(いずれも2026年9月7日確認)。実際の申し込み窓口が法人専用である以上、個人事業主の方は対象外と考えるのが安全です。
信用情報に影響しますか?
公式サイトでは「借入ではないため、信用情報を参照せず記録も残らず、担保や保証人も不要です」と説明されています。公開事例02の製造業も、銀行との付き合いから信用情報への記載を避けたいという理由でファクタリングを選んだ例として紹介されています。
まとめ:申し込む前に、この3つだけ計算しておく
長くなったので、最後に必要な作業だけまとめます。
- 売掛先・入金予定日・金額を書き出す(審査は売掛先を見ます)
- 2社間か3社間かを決める(公開事例では3社間のほうが1.5〜6ポイント低い)
- 手数料の見込み額が、その案件の粗利を超えていないかを計算する
この3つを済ませてから問い合わせると、返ってくる見積もりが「高い」のか「妥当」なのか、自分で判断できます。逆にこれをやらずに申し込むと、提示された率をそのまま受け入れるしかありません。
そして、いちばん大事なところをもう一度。手数料が粗利を超えたら、その取引は赤字で終わります。これはFIKS自身がFAQで注意している内容でもあります。速さにお金を払う判断なのだと理解したうえで使えば、資金繰りの選択肢として意味のある手段です。
条件は変わることがあるため、申し込み前には必ず公式サイトの最新の表示をご確認ください。
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✍️ この記事を書いた人
チケットナビ編集部
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